リハビリのポイントや種類について解説
パーキンソン病は、脳のドパミン神経が減少することにより、身体を自由に動かすことが難しくなる疾患です。
現在のところ、脳神経の減少を抑える根治治療はありませんが、対症療法により、症状の改善や維持が期待できます。
対症療法の中でもリハビリテーションが非常に重要です。
薬物療法と併用してリハビリを行うことで、高い効果を得ることができます。
今回は、パーキンソン病に効果的なリハビリの方法や種類について解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
パーキンソン病に効果的なリハビリテーションのポイント
パーキンソン病のリハビリの目的は、症状の緩和と軽減です。
間違ったリハビリは逆に症状を悪化させてしまうこともあります。
以下の点に注意して、効果的なリハビリを行いましょう。
ポイント①早期から始める
パーキンソン病のリハビリはできるだけ早期に始めることが肝心です。
自分で身体のコントロールができている段階からリハビリを始めることで、運動機能の維持・改善効果が高くなります。
ポイント②薬が効いている時に行う
パーキンソン病の治療は薬物療法が中心です。
薬物療法とリハビリは併用して行いますが、ONの状態(身体が薬効を示している状態)の時にリハビリを行うと効果が高いと言われています。
身体の動かしやすい時に無理のない範囲でリハビリを行うことがポイントです。
ポイント③過度な運動は避ける
身体に負担となる過度な運動は避けましょう。
痛みを伴うほどの運動や長時間の運動は逆効果になります。
パーキンソン病の方にとって過度な運動は、逆に筋力低下を招くとも言われています。
身体に無理のない範囲の運動を継続的に行うことが大切です。
ポイント④環境調整を行う
転倒やケガをしないように、環境調整を行った上でリハビリを行うことが大切です。
パーキンソン病の方は、一般の方に比べて骨粗しょう症のリスクが高いことが報告されています。
骨粗しょう症は骨折のリスク要因であり、パーキンソン病の方は転倒による骨折に特に注意が必要です。
パーキンソン病のリハビリテーションの種類
パーキンソン病には、無動(動作の緩慢さ)・筋固縮(筋肉のこわばり)・振戦・姿勢反射障害といった運動症状(四大症状)があり、これらの運動症状が現れることで日常生活動作が困難になってきます。
これらの症状に対するリハビリとして以下のものがあります。
関節可動域訓練(ストレッチ)
筋肉のこわばりにより、関節が動かしにくくなります。
そのため、関節を意識的に動かし、関節の動く範囲を維持することが重要です。
- 痛みのない範囲で頭を左右に倒したり回したりする
- 両手を合わせてゆっくり上に持ち上げる
- 両手を背中で組んでゆっくり上げ下げする
- 両手を胸の前で組んで手首を伸ばす
- 足を肩幅に開いて、身体を前後に倒したり左右にひねったりする
以上のようなストレッチは座ってでも立ってでも行うことができます。
空いた時間に意識的に身体を動かすようにしましょう。
体力・筋力アップ訓練
パーキンソン病の方は、身体が動かしにくくなることでさらに動かなくなり、筋力が低下するといった負のサイクルに陥りがちです。
二日おきに、一回20~40分程度のウォーキングを行い、体力と筋肉の維持に励みましょう。
さらに、足の付け根と太ももの筋肉、腹筋と背筋、お尻の筋肉を鍛えることが効果的だとされています。
正しい姿勢で歩くことで腹筋と背筋が鍛えられ、スクワットにより太ももやお尻の筋肉が鍛えられます。
日常生活訓練
パーキンソン病の方は、筋肉のこわばりや振戦(手足の震え)などの症状によって、食事や着替え、入浴といった日常生活動作から、ビンやペットボトルの蓋を開ける、タオルや雑巾を絞る、字を書くといった細かな動作まで、様々な動作が不便になります。
日常生活訓練では、どの部分が不便になっているのか正しく評価して、症状に応じた訓練を行うことが必要です。
自助具なども提案しながら訓練していきますが、日常生活訓練については、本人やご家族で行うことは難しく、作業療法士などの専門職が行います。
構音・嚥下訓練
パーキンソン病が進行すると、約90%の方に構音・嚥下障害が見られるとされています。
小声や呂律の回りにくさ、飲み込みにくさといった症状が出現し、言語聴覚士による専門的なアプローチが必要になります。
しかし、構音障害が出る前から予防的に行えるリハビリがあります。
- 口を大きく開けたり閉じたりを繰り返す
- 口をすぼめて呼吸する
- 発声練習(大きな声を出す)を行う
口の周りの筋肉を動かすことは、顔のこわばりや話しにくさを解消します。
さらに、発声練習は構音・嚥下障害の予防や改善につながるだけでなく、腹筋や背筋を鍛え、正しい姿勢の保持に役立ちます。
歩行訓練
体力や筋力維持のためにウォーキングは欠かせないとお話しましたが、正しい姿勢で歩くことが重要です。
パーキンソン病の方は、歩行に特有の症状が出現します。
歩行時の前傾姿勢、最初の一歩が出にくい「すくみ足」、すり足で小刻み歩行、方向転換のしにくさなどです。
パーキンソン病の歩行訓練のポイントは以下の通りです。
- 頭を持ち上げ、しっかりと身体を起こして前を向く
- 歩き始めは、心の中で「せーの!」と号令をかけてから大きく一歩目を出す
- 一歩目の足を決めておく(右足から?左足から?)
- できるだけ大きな歩幅でかかとから踏み出すようにして歩く
- 1・2、1・2とテンポよく歩く
まとめ:パーキンソン病のリハビリテーションは早期から継続的に!
パーキンソン病のリハビリで大切なことは以下の通りです。
- 早期から継続的に行う
- 薬が効いている時に行う
- 過度なリハビリは逆効果
- 環境調整を行った上で実施
パーキンソン病は加齢によって起こる可能性が高くなるため、高齢化社会の日本では、パーキンソン病患者さんの数は年々増加しています。
根治治療の方法はありませんが、薬物療法とリハビリを併用し、パーキンソン病とうまく付き合っていくことは可能です。
今回の記事が、パーキンソン病の患者さまやご家族、ケアマネさんなどの支える方々のお役に立てることができれば幸いです。
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