あしすと訪問リハビリ鍼灸マッサージ院

在宅療養を支えるご家族様へ

こんにちは。看護師からのお話の時間です。

今日は私の祖父のお話をさせて下さい。

 

私、とってもおじいちゃんっこなんです。

私の人生になくてはならない存在でした。

 

初めての一人でのお出かけも、家出もぜーんぶおじいちゃんの家です。

携帯電話の無料通話も全部おじいちゃんに使っていましたね。

高校の時は、ずっとお泊りして、一緒に寝て、そこから高校に通っていました。

頭が良くて、かっこよくて、人望がある祖父は私の憧れなんです。

 

私が看護師になる夢は、私だけの夢ではなく、祖父と共に抱いた夢でした。

 

私が、医大の看護学部に合格した時、祖父は涙を流して喜びました。

学生寮に下宿している私に、毎月茶色い封筒に

“夢にむかって頑張れ”“最後の力をふり絞って‼”など

メッセージと共にお小遣いを送ってくれていました。

 

そんな、大好きな祖父の肺に影が見つかったのが大学2年生の夏でした。

秋には成人式の前撮りに一緒に行こうと約束していた矢先です。

すでに腎臓・脳まで腫瘍が広がり

当時79歳だった祖父には治療の選択肢が残されていませんでした。

 

“最期まで大好きな書道の先生を続けながら自宅で過ごす”

 

祖父と私たち家族は決意したのです。

 

今から15年前の話です。

 

実は当時はまだ在宅療養のシステムが現在ほど構築されておらず、

訪問看護もエリアが少なかったので

近隣の市に直談判して訪問看護をお願いしました。

 

しかし、往診の医師はどうしても見つけることができず

医師の診察は家族で協力して送迎しました。

 

 

祖父は次第に体に痛みを訴えるようになりました。

現在とは違って在宅では満足な疼痛緩和のための治療を受けることが出来ず、

母が、毎日のマッサージに通ったのです。

呼吸が苦しいと祖父が言えば、祖母は祖父が眠りにつくまでずっと、手の皮がめくれるほど体をさすりました。

 

週に1度の訪問看護以外の全ての時間を家族で介護しました。

祖母は疲労と心労で髪の毛が全て抜けおち、体重は34㎏まで減りました。

母は仕事を続けることができず、休職しました。

それでも、どうにか家で過ごさせてあげたいとその気持ちだけでした。

 

最期の1週間は祖母と母と私の3人で24時間交代で看病をしました。

呼吸が苦しくうめき声をあげる祖父を

一人が支え、一人が背中をさする。

なんとか水を口に含ませる。

トイレに立ちたいとベッド上で排尿しない祖父を

引きずりトイレに連れていく。

 

対応がわからない時は、訪問看護師さんに連絡し指示を仰ぎました。

その時の訪問看護師さんの名前も顔もはっきりと覚えています。

いつか、看護師として私はこの場所に帰ってくると

その看護師さんと約束しました。

 

祖父は、みんなに愛され、そして惜しまれ亡くなりました。

 

祖母や母も本当に頑張りました。

 

振り返れば祖父は、

亡くなる2か月前まで教壇に立ち、

亡くなる8日前まで自宅で生徒さんの指導をしていました。

亡くなる4日前には隣で実習記録をする私をみて

「きっと看護師さんになってね」と涙を流していました。

 

とても、とても祖父らしい人生でした。

 

あれから15年。

 

今、在宅診療は大きく変わりました。

 

在宅支援診療所・病院の数は大きく増え

在宅療養を行う患者さんの入院が必要な時のベッドも確保されました。

 

在宅診療で使うことの出来る薬剤が増え、投薬方法の選択肢が増え、

疼痛や苦痛の緩和が出来るようになりました。

 

 

訪問看護に加え、訪問介護サービスが充実し日常生活のサポートを得ることが出来るようになりました。

訪問入浴に訪問リハビリテーション、そして訪問マッサージ。

 

母が仕事を休んでまでマッサージに通わなくても、

祖母が手の皮がめくれるまで背中をさすらなくても、

 

家で自分らしく過ごすことができる時代になったのです。

 

私は以前からこちらで執筆させて頂いていますが、

それを見た姉が、

「お母さん、おじいちゃんのマッサージをしに随分通ったよね。時代は変わったね。」

と言っていました。

 

時代は大きく変わったのです。

 

祖父のように自宅で最期まで過ごしたいと願った人の思いが、

祖母のように命をかけて看病した人の思いが、

 

国の制度を大きく変え

 

今は沢山の専門職と共に在宅療養が行えるようになりました。

 

在宅療養を支えるご家族の方、いつもありがとうございます。

大変なこと、沢山沢山あると思います。

 

けれど、今は専門職と共に介護する時代です。

本人にとってつらいこと、そして家族にとって大変なこと。

 

具体的にあげてみて下さい。そして相談して下さい。

きっと、救いの手があると思います。

 

今、我が家の庭では

祖父の戒名から1文字もらって名前を付けた私の息子が元気に走り回り、

未来に向かって大きく成長しています。

 

どんなことも未来に繋がる、そう信じています。

 

「あしすと訪問マッサージ院」では、ご自宅で療養を行っている患者様の訪問マッサージを行っています。

ご自宅の介護でご本人様が辛いこと・ご家族様が困っていることがあれば

ご相談下さいね。