暑い日が続きます。いかがお過ごしでしょうか。
夏は昔から食欲が減退する時期とされ、冷たいものを食べる、香味のある食材を使うなど様々な工夫がされてきました。
高齢者の方からは、夏になって食が細くなった、食べられなくなった、というお話も良くきかれます。
このコラムでは高齢者の方の夏バテについて注意するべきことを詳しく解説します。
1 高齢者が食事を食べられなくなる理由
夏に限らず、高齢者が食事を食べられなくなる原因は複数あります。
頻度の高いものについて説明します。
基礎疾患の悪化
高齢者の方は慢性心不全や慢性腎臓病、COPDなどの基礎疾患のある方が多いです。
元々の病気の病気が悪化していないか、注意して観察しましょう。
嚥下機能障害
脳梗塞や脳出血の後遺症としてものを飲み込む能力(嚥下機能えんげきのう)が低下することがあります。
いわゆる脳卒中と言われるような急激な変化がなくても、徐々に飲み込み辛くなることも多いです。
リハビリで回復することもありますが、多くは加齢現象で劇的に回復することは難しいです。
老衰
上記の嚥下障害も老衰の一症状ですが、嚥下機能低下がなくても自発的に食事をとらなくなる方がいます。
認知症によるアパシー(無気力・無関心)などが原因です。
認知症の薬を調整することで食思が戻る場合もありますが、加齢現象であるため有効な手立てがない場合もあります。
脱水・熱中症
夏は発汗量が増え、脱水や熱中症になりやすい環境です。
脱水・熱中症どちらも食思不振の原因となり得ます。
室温を適正な温度とし、水分を十分に過不足なくとりましょう。
それ以外の生理的な要因
高齢者に起こりがちな食思不振の原因を上げましたが、これらの病的要因がなくてもいわゆる“夏バテ“として食欲が落ちてしまうことがあります。
高齢者の方は若い方よりも予備能(変化に耐える力)が弱いので、症状がより顕著となります。
2 様子を見て良いケース
軽度の夏バテであれば、食事の工夫をして夏をしのげば良いでしょう。
本人の嗜好に合わせた食べやすいもので、必要な水分とカロリーが摂れていれば無理に嫌いなものを食べさせる必要はありません。
お酢で野菜を漬けたり、唐辛子や山葵など香味のある食材を使ったりすると食べられる場合があります。
温かい食事が食べられなくても、冷めたおにぎりや冷しゃぶした肉などが好まれることも多いです。
ドラッグストアではドリンク状、またはゼリー状の栄養補助食品が買えます。
栄養補助食品をうまく使って必要な水分・カロリーを補うのも有効です。
「ちょっとバランスが悪いのでは」と感じるメニューになってしまっても、水分とカロリーが十分に摂れていて期間が一時的であれば、それほど大きな問題はありません。
3 病院を受診したほうが良い危険なサイン
それらの工夫をしても摂取カロリーが1200~1400kcalも摂れないといった場合には、ただの夏バテではなく、何かしら病的なことが原因となっている可能性があります。
かかりつけの病院があれば一度相談しましょう。
特に、基礎疾患の悪化が疑われる兆候がある、食事の度に咽ている、おしっこが少ない、ぐったりしているなどの兆候がある場合には自己判断せず早めに対応してもらいましょう。
まとめ
夏バテは一時的なものであれば、栄養補助食品や嗜好品を組み合わせて水分とカロリーを補いましょう。
高齢者の方は予備能が少なく脱水や熱中症に注意が必要です。
また老衰、認知症の進行、嚥下障害など、高齢者特有の原因で食事がとれない可能性も考えられます。
通常の夏バテより症状が重い場合には、躊躇せず医療機関に相談をしましょう。