あしすと訪問リハビリ鍼灸マッサージ院

家族が抱える不安について

【具合が悪くなった時にどうすればいいの?と思っていませんか】

 

皆様こんにちは。

看護師からのお話の時間です。

今日は在宅療養におけるご家族の“不安”についてです。

 

これまでのお話の中で

近年は在宅療養のシステムが構築され、専門職と共に介護をする時代となっているとお伝えしたと思います。

では、在宅療養のシステムが構築され訪問診療や訪問看護を始めとしたサービスが充足したことで

ご家族の不安は軽減または、解消されたのでしょうか?

 

在宅療養のご家族を対象とした研究では

在宅療養システムの構築で“負担”は軽減しても“不安”は軽減しないというデータが出ています。

つまりどんなに在宅療養がご家族だけでなく社会全体で支える時代となっても

不安はなくならないということです。

 

 

【実際のご家族の声】

では、実際にどのようなことに不安を抱いているのか聞いてみると

 

医者や看護師がいない中で急変したらどうしよう、近くに対処できる人がいないことで、助かる命が助からなくなってしまったらどうしようなどと、不安はありました。<患者家族:香川県・30代・女>

 

夜間の家族しかいない時間に本人も落ち着かなくなったり不安が増えるので、ちゃんと対応できるかが不安でした。<患者家族:新潟県・50代・女性>

 

このような声が上がってきました。

 

“具合が悪くなった時にどうしよう”

 

と、多くのご家族が不安に思っていることが伺えますね。

 

とてもお気持ちがわかります。医師や看護師がいない中で具合が悪くなった時に対応できるか不安ですよね。

今日は

“具合が悪くなった時にどうしよう”

という不安に焦点を当てて、

少しでも軽減できることをお伝えさせてください。

在宅療養は特別な処置・ケアをすることが目的ではない

 

ひとつめは、在宅療養のあり方について考えておくことです。

 

先ほどの実際のご家族の実際の声からわかるように、思いやりと責任感を持って

在宅介護に向き合っているご家族の方だからこそ、具合が悪くなった時の対応に不安を抱いていらっしゃいます。

しかし、在宅療養の目指す姿は、

“患者さんがありのままの姿で自宅で過ごすこと”です。

決して特別な処置やケアをすることが目的ではありません。

急変時の対応、病院と同じようにできなくでもいいんです。

医療機器もない、医師も看護師もいない在宅療養では病院と同じ医療行為は行えません。けれど、在宅療養でしか得ることのできない患者さんの生活があります。

逆に、病院で急変が起きたとき

医師や看護師は医療行為を行うことができます。

しかし、患者さんご本人は愛するご家族と手を繋ぐことはできないのです。

どんなに万全の準備をしても、急変は起きてしまうし、いつか、命が終わりを迎える時がきます。

しかし、その一瞬よりも何倍も何倍も長い大切な時間を住み慣れた自宅で患者さんがりのままの姿で過ごすことができるのですから。

 

という私も新人看護師の時は

病院という医療器具も医療者も充足している環境においても

急変が怖くて夜勤の時はよく泣いていました。

目の前で具合が悪くなるのを目の当たりにするのは辛いですよね。

私は自分が未熟で何もできないのではないかと不安でした。

その時、研修をして下さっている先輩が

“私たち看護師の仕事は、患者さんがゴールに向かって最善の状態で進むことができるようにサポートすることだ”と教えてくれました。

それが、退院であっても例え命を終えることであっても、患者さんのゴールが最善であるようにケアをしなさい、と教えてくれました。

人生の最後の瞬間を出来る限り清潔な状態で、また苦痛の少ない状態にできるようサポートしたいと思いました。

少しの考え方で気持ちはすっと軽くなりますよね。

ご家族は患者さんがありのままの姿で自宅で過ごすことができるようにサポートをして下さっています。

急変時、往診の先生や訪問看護等、しかるべきところに連絡をする。

これで十分です。あとは私たちの役割です。出来なくて当たり前、出来なくていいですよ。側にいて見守って下さいね。

 

 

【不安を共有して、準備をする】

ふたつめは、出来ることを準備しておくことです。

もちろん先ほど述べたように出来なくていいのです。

けれど、在宅の現場に行くとご家族様は看護師がびっくりするほどに

患者様の状態を理解し、ケアの手技も取得されています。

不安な状況にどうすればいいか、準備しておくことは力になります。

日々、往診の医師や看護師といった在宅療養のメンバーと不安なこと共有できていますか?

 

不安の中に何を準備していけばいいのかのヒントが隠されています。

患者さんが夜間に息苦しさを訴えることが不安

ベッドから落ちてしまったらと考えると不安

等、状況事に不安に思うことは様々ですよね。

もし、息が苦しくなったら先生が来るまでどうすればいいか

例えば、排痰を促す、体勢をファーラー位(上半身を45度の起こした体位)にする

一緒に深呼吸を促すなど

特別なことじゃなくても、苦痛を軽減するために準備できることがあります。

その患者さんとご家族にとってなにが不安かお話しませんか?

ぜひ教えてください。

本来は医療者側から不安に思うことに関して気が付き、こんなことが不安ですか?などお声がけできるといいのですが…

毎日の業務の中で当たり前が増えてしまい

小さな不安に気が付けない時があります。(これは私です…。)

ぜひ、ご家族の目線で気が付いたことを教えてもらえたら嬉しいです。

 

 

【終わりに】

今日は、在宅療養を支えるご家族の不安についてでした。

不安の種類は多岐に渡り、ここに書くことができたのはほんの一部だと思います。

日々、色々なご家族との関わりの中で、私たち医療者も学び、成長をしています。

小さなことも共有して、より過ごしやすい在宅療養を一緒につくっていきたいです。よろしくお願いします(^^)/