「介護がしんどい」「夜も眠れず、疲れがたまっている」
毎日繰り返される介護生活。介護者にとっては自由になる時間を確保するのもままならないため、体力的だけでなく、精神的にも大きな負担となります。
そのためストレスを溜めやすい状態となり、介護うつになってしまうことも。
そこでこの記事では、介護うつにならないための対策をお伝えします。
在宅で介護中の方は参考にしてください。
介護うつとは
うつ病とは精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態をいいます。
それにより気分の落ち込みや、何をしても楽しめないなどの精神症状、眠れない・食欲がないなどの身体症状が現れます。
介護うつは、介護による身体的・精神的ストレスが原因で発症するものです。
2010年の厚生労働省の調査では、介護者のうち男性68.7%、女性74.5%
が、「家族の病気や介護」でストレスを抱えています。
このことから介護は、介護者にとって、心身にストレスを抱えやすいものであるといえます。
介護うつの原因
体力的な負担
体を持ち上げる動作や定時のオムツ交換など、介護ではかなりの体力を要します。
特に、前かがみの姿勢で介助をすることが多いため、首や肩回り、腰部の筋肉に負荷がかかります。
筋肉の緊張は血流が悪化につながり、腰痛や肩こりの原因となるのです。
その痛みが不快感となりさらにストレスを増強させます。
家族間の不和
介護の負担から、心身ともに疲弊すると、家族間でトラブルが起こることもあります。
・自分ばかり介護をしている
・金銭面で、一人に負担が偏っている
など、このような家族間での不和が生じると、メインの介護者が孤立してしまい、
誰にも頼ることができずに悩みを一人で抱え込んでしまう状態となることで、
介護うつの発症につながります。
経済的な負担
介護のために仕事を辞めざるを得なくなった場合、収入もなくなってしまうため、経済的な負担ものしかかります。
経済的な不安から、介護サービスを受けづらくなり、自宅での介護を強いられることになります。
そこから心身のストレスの悪化につながります。
他者との交流の減少
介護により、自宅で過ごす時間が増えてくると、外出をする機会が減ります。
他者と交流する機会がなくなることで、介護者が自身の悩みや不安を誰にも相談することができない状態となってしまいます。
このような状態は、介護うつの発症につながります。
介護うつにならないために
介護サービスを利用する
デイサービスやショートステイなど、家庭状況に合わせて適切な介護サービスを受けることで、介護者の負担を減らすことができます。
介護者が自由に使える時間を作り、気分転換をすることで、ストレスの緩和につながります。
ケアマネや地域包括支援センターなどに相談する
介護者の中には、悩みを誰にも相談できない状況にある方や、誰かに頼ることに申し訳なさを感じている方もいるかもしれません。
しかし在宅で療養中、困ったことがあった際に相談できる場所を作っておくことは大切なことです。
普段からコミュニケーションをとり、相談やすい環境を作っておきましょう。
まとめ
介護うつは、ストレスを抱えやすい介護者にとっては気をつけたい病気です。
介護はストレスをためやすいものであると理解し、悩みは一人で抱え込まず、些細なことでも地域包括支援センターやケアマネなどに相談しましょう。
誰かに頼ることは決して悪いことではありません。
また、気分の落ち込みや夜眠れないなど、「もしかしたら介護うつかも?」という症状がある場合は、症状が重くなる前に心療内科や精神科などを受診するようにしましょう。
参考サイト、参考文献
・厚生労働省・うつ予防・支援マニュアル(改訂版)
・厚生労働省・国民生活基礎調査の概要-4 同居の主な介護者の悩みやストレスの状況-
・家族介護者の筋骨格系症状と 介護との関連についての文献レビュー 鈴木岸子他